とう》の護摩堂付近へ馬を乗り入れたとき、ちょうど群集を斬りはらいながらたち現われた左膳と、バッタリ――。
「おお、お父上!」
 とチョビ安は涙声、
「お美夜ちゃんも、無事で!」
「アラ、チョビ安兄ちゃん! お爺ちゃんも来てくだすったの」
「ウム、あぶないところを助かったか、これ、お蓮、お美夜、ここでは話もできんから……」
 と、片手に足曳のくつわを取った作爺さんの横顔に、燃えさかる作事部屋の火が、赤かった。

       四

 騒動にまぎれて、日光の山をくだりかけた一同が、振りかえって見ると、作事部屋の火は大事にいたらずしてすぐ消し止めたらしく、明けはなれようとする夜空に、火映えはどこにも見られなかった。
 それから数刻ののちには。
 カラッとした秋の朝陽の降る日光街道に、今市の方向をさして急ぎつつある、異様な姿の一行が見られた。
「御好意返上」とだけ、筆太《ふでぶと》に書いた紙を馬のくつわに結びつけて、そのまま足曳《あしびき》を手ばなした作爺さんは、放心状態のお美夜ちゃんとお蓮様の手を引いて……それをとり巻く左膳、源三郎、萩乃、お藤、チョビ安、泰軒たち。
 思い出したように、歩《
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