け」
「いやなこった! ここでお前さんを見つけた以上、あたしゃもうもう、どんなことがあっても離れやしないよ。柳生の屋敷へなど、二度と帰りはしないから」
 左膳は無言。
 ついてくるならかってに――と言わぬばかり、どんどん歩を早めて、浅草竜泉寺の方角へ。
 お藤姐御も、おくれじと急ぐ。変てこな二人行列。

   生命《いのち》の辻《つじ》


       一

 女のほうからおもわれると、その女に対して、たいした興味を持たなくなる……これが、色事師の常らしい。柳生源三郎も、その一人。
 お屋敷育ちの武家娘らしい、つつましやかさで、萩乃が自分を恋していることは、百も承知しているのだが。
 サテ、そうなってみると、萩乃とほんとうに千代をちぎり、この道場のあるじとなり、永久にここに根をはやそうというほどの、執着心もわかない。
 ことに、それにはまだひとつじゃまがある。
 それは……峰丹波の存在。
 御後室お蓮様は、ある夜ひそかに道場を出奔して、行方不明になったものの、丹波はいまだに、その邸内の別|棟《むね》に頑張って、いっかな動きそうにない。
 ああして真剣仕合いをいどめば、判定人を立ちあわ
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