京ら二、三人は、近くの暗中をウロウロしているらしく、帰ってくるようすもない。
「結城どの、石はあったかナ?」
穴のふちから、たれかがきいた。と、
「石でふさがず、貴様らのからだでふさげばよい」
うしろで、暗黒《やみ》が答えた。
十二
石で穴を埋めるかわりに、貴様たちのからだで埋めるから、そう思え……。
太い濁声《だみごえ》が、闇からわいて!……。
ギョッとしてとびのいた、穴のまわりの連中、暗黒をすかしておよび腰だ。
「お、おい、結城殿《ゆうきどの》、左京殿《さきょうどの》。何を冗談を言うのだ――」
最初は、ほんとに、石をさがしにいった結城左京が、こっそり帰ってきて、ふざけているのだと思ったので。
「いいかげんうすッ気味のわるい役目を引き受けて、おっかなびっくりのところだ。おどかしっこなしにしようぞ」
そんなことを言いながら、ふと思ったことは。
どうも、声がちがう……?
そのとたんに、
「ウフフフフフ、だいぶ胆をひやしたようじゃが、その調子では、墓埋めなどというすごい仕事はつとまるまいテ、わっはっはっは」
また大声が、眼の前に爆発して、暗黒が凝《こ》
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