が始まったとばかり、いっそう狂人扱いされるのみ。
「サクアミとか、南無阿弥とか、たえず妙なことを口ばしっておるようじゃが」
「ナニ、言いたいことをいわせておけばよいのじゃ」
と、これでは、お蓮様はどこにも、取りつく島がありません。
一日に何度となく、庭づたいに役人衆のいるところへ来て、
「どなたか上の方に、お眼どおりを許していただくわけにはまいりませんでしょうか」
「ハイハイ、御城主様でも公方様へでも、どなたへでもお取り次ぎを申しまするで、どうぞ、お屋敷でお待ちのほどを、願いあげまする」
お蓮様は癇癪《かんしゃく》を起こして、
「マア、何を言うのでしょう。日光というところは、狂人ばかりそろっているのねえ。気味の悪い!」
侍たちはドッとふきだして、
「イヤ、こいつは参った。まったく言われてみると、狂人のお守《も》りをしているわれらも、こう退屈では、いつのまにか気が変になろうも知れぬテ」
「なんですって? わたしを狂者ですと?」
「イエイエ、とんでもない! あなた様に対して、けっしてさような失礼なことを――」
四
何がなんだかわからないお蓮様、
「くどくお願いす
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