道、会津街道は、おのおの二里十六町、まさに天下の偉観です。
 当時はヒョロヒョロの貧弱な苗でいかにも献納者の懐具合を語っているようだった杉の若木が、今では日本の輪奐美《りんかんび》に、うるわしい調和を見せて、寄進元の頭の良さを示している。
「ずいぶん苦しい思いをして、この杉を植えたのであろう」
 今、杉の下を通りながら、お駕籠のなかの対馬守様、同病あいあわれむで、そんなことを考えている。
「昔から日光のためには、貧乏な大名が、みな泣かされてきたのだ――」
 大金の所在をのむこけ[#「こけ」に傍点]猿の茶壺は、いまだに行方がわからない。
 困っている柳生藩を見かねて、愚楽と越前守の取りなしで、あの贋《にせ》の茶壺を庭の松の木に引っかけ一夜のうちに上屋敷の隅へ、この日光に必要なだけの入費を埋ずめておいて柳生を助けた。
 いわば、吉宗公のポケットマネーで、やっとこうして造営に出てこられたのですから、対馬守さま、内心おもしろくないことおびただしい。
 それにつけても、こけ猿はいまどこにある?
 思うのは、このことばかりです。
 殿様の身がわりに真剣勝負に立ちあったばっかりに、すんでのことで峰丹
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