き》を取って、十字に綾《あや》なしていますと、
「コレコレ、源三郎――!」
 主水正、また始めた!
「丹波殿がお待ちではないか。この期《ご》におよんで気おくれがしたか源三郎! ヤイ、源公!」
 そんなことは言わない。
「気おくれだと? 爺め、今だと思って、ひでえことを言やあがる」
 源三郎が低声につぶやいて、そっとにらみつけると、主水正はケロリとした顔で、
「無礼であろうぞ源三郎! なんという眼つきをして兄上を見るのだ。眼がつぶれるぞ」
 しかたがないから、源三郎、
「申しわけござりませぬ。勝負は時の運、ことによると、これが今生のお見納めかと、思わず、兄上のお顔をあおぎ見ましたので」
「そんな気の弱いことでどうする! ウム? 早く立ちあえ源三郎! ソレ、刀を抜かぬか、源三郎。何をしておる、源三郎!」
 これじゃア源三郎がいくつあっても足らない。

       三

 源三郎! 源三郎……! と、まるで源三郎を売りにきたような田丸主水正の空《から》いばりを。
 したくをととのえながら、じっと横眼で見守っていた峰丹波。
 悪知恵の本尊だけに、人の悪知恵を見破るのも、早い。
 ハハア! こ
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