いから、首をさしのべた他の一人が、その先を読んで、
「……判定なくして、他流仕合いを行なうは、当不知火道場のかたく禁ずるところにつき、か。ハッハッハ、うまい抜け道を考えたもんだな」
「それでは、先方の申すとおり、判定をつけようではございませぬか」
 この大八の言葉は、主君源三郎へ向けられていた。ムックリ起き上がった伊賀の暴れん坊、ふところの両手を襟元にのぞかせて、頬づえのように顎《あご》をささえながら、
「おれもそう思っていたところだ……しかし、この判定は、おれ以上に腕のたつ者でなければならんと言うのだから――」
 源三郎の頭に、このとき影のように浮かんだのは、隻眼隻腕、白衣の右の肩をずっこけに、濡れ燕《つばめ》の長い鞘《さや》を落し差しにしたある人の姿。
「だが、左膳のやつは、今ごろどこにいるだろう。用のあるときはまにあわず、用のないときにかぎって、ヒョックリ現われるのが彼奴《きゃつ》じゃ」
 ポント膝をたたいた源三郎、
「そうそう! 兄貴に頼もう。兄対馬守をこの審判に引っぱり出そう。安積《あさか》の爺《じい》、そち大急ぎで、林念寺前の上屋敷へこの旨を伝えに行ってくれぬか。それから、
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