こそ、辻のお地蔵さんへあげるお饅頭みたいな、愛《あい》くるしい顔だ。
 片手に、お美夜ちゃんの手を引いて、
「なア、これで泰軒先生に、今夜も寝酒の一|杯《ぺい》もやってもらえようってもんだ」
「ねえ、安さん……」
 とお美夜ちゃんは、チョビ安のこまっちゃくれたのがうつったのか、これも、いつからともなくませた口をきく。
「あたいね、毎日のことだけど、いつもあすこんところでは泣かされちゃうのよ――あのホラ、あたいの父《ちゃん》はどこにいる、あたいのお母《ふくろ》どこへ行った、で、あたしがネ、こう、手をかざして、お父《とっ》ちゃんやお母《っか》ちゃんを探してまわる物狂《ものぐる》いのところね――何度やっても、あそこは身につまされるわ。きょうも涙ぐんだの」
「おいらもそうだよ。どうもあすこはいけねえ。思わず涙声になっちまって、こっぱずかしくっていけねえや。だけどなア、考えてみると、おいらのような運の悪いものも、またとねえだろうよ」
 お美夜ちゃんは、その小さな手で、ギュッとチョビ安の手を握りかえして、
「アラ、思い出したように、どうしてそんな心細いことを言うの? あたい、泣きたくなっちゃうわ」
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