んと泰軒|小父《おじ》ちゃんの待っている、あの竜泉寺のトンガリ長屋へヨ」
「アイ」
お振袖のかあいい女の子と、意気な兄イの見本のような、こましゃくれたチョビ安と、二人の小さな影が、まるで道行きのように手を引き合って、長い横町を遠ざかる。そして、夕陽のカッと射す角を曲がって、浅草のほうへ消えてゆくのを、町の人々はまだ立ちどまって、見送っている。
ガヤガヤ笑いながら、
「兄妹《きょうだい》でしょうか」
「イヤ、そうじゃあねえらしいんです。あの、口のよくまわる男の子は、父も母もないとかで、それを探すために、ああやって辻芸を売って、江戸《えど》じゅうを歩いているんだそうですよ」
「だけど、おめえ、あの女の子にも、母親がねえとか言っていたじゃアねえか」
「それはそうと、二人の仲のいいことったら、どうでげす。振りわけ髪の筒井筒《つついづつ》、あのまま成人させて、夫婦《めおと》にしてやりてえものでげすナ」
お迎《むか》え駕籠《かご》
一
「すまなかったなあ、お美夜ちゃん。今日は朝から踊りつづけで、くたびれやしないかい?」
「ううん、そんなでもないの」
「足が痛くはねえ
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