せられても、お手前らの困憊《こんぱい》がお耳に達し、なんとかして公儀の手をもって真のこけ[#「こけ」に傍点]猿《ざる》を発見してやりたいものじゃと、わしにお言葉が下がったので、届かぬながらもこの愚楽が、大岡越前守殿と相談のうえ、ある巷の侠豪……その者の名は言えぬが――に頼んでナ、ひたすら捜索してもらったのじゃ」
「ありがたき御|芳志《ほうし》、手前主人にもなれなく取りつぎまする考え、いかに感佩《かんぱい》いたしますことか……」
「ところで、貴殿にうかがうが、いったい柳生のこけ猿と申すは、いくつあるのかな?」
「ハ?」
 と、ふしぎそうな顔を上げた主水正、
「いくつと申して――むろんそれは、一つにきまっております。他はすべて贋物」
「サア、それはわかっておるが、その贋のこけ猿が、二つ三つ御藩の手もとにも昔から伝わっておるのではないかな?」
「イヤさようなことはないと存じまするが、しかし、こけ猿の儀につきましては、国元なる一風宗匠と申す藩のお茶師にきいてみねば、何事も手前一存にては申しあげかねまする」
「そうであろう。先日某所より入手いたした茶壺、これこそは真のこけ猿に相違なしと、上様と越
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