のとり決めた相手でも、今となっては、じぶんさえしっかり頑張れば、なんとかのがれる術《すべ》があるかも知れない――。
それにしても、源三郎の名がきらいになるにつけて、日とともに深められていくのは、あの、植木屋へのやむにやまれぬ思慕のこころ……。
あの凜《りん》とした植木屋の若い衆を想うと、その悲痛のどん底にあっても、萩乃は、ひとりでポッと赧《あか》らむのです。
「じぶんとしたことが、なんという――しかも、この、お父様のお葬式の日に……」
いくら自らをたしなめても、胸の一つ灯は、逝《ゆ》きにし父へのなみだでは、消えべくもないのだ。
子として、父の死を悼まぬものが、どこにあろう――でも、かの若い植木屋を思い浮かべると、萩乃は自然に、ウットリと微笑まれてくるのだ。
二
焼香は、二度香をつまんで焚き、三歩逆行して一礼し、座に退くのだ。
出棺の時刻が迫り、最後の焼香である。
遺骸を安置した、おもて道場の大広間……。
片側には、司馬家の親戚をはじめ、生前、剣をとおして親交のあった各大名、旗下の名代が、格に順じてズラリと居流れ、反対の側には、喪服の萩乃、お蓮様を頭に、
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