花火にひっかけて、もじったもので、さっき柳生源三郎と名乗って丹波とのあいだに問答のあったのを聞いていますから、
「玉屋ア! 柳屋ア! 柳屋ア!」
と即座の思いつき……四方八方から、さかんに声がかかる。
なかには、岡焼き半分に、
「落ちるところへ、落ちましたよ。拙者は、諦めました」
「萩乃様とは、好一対。並べてみてえや、畜生」
「アアつまらねえ世の中だ。不知火小町も、これで悪くすると主《ぬし》が決まりますぜ」
溜息をついている。
が、群衆は、知らないものの――。
婿として乗りこんできた源三郎に、この萩乃のおひねりが当たったというのも、これも一つの因縁……臨終まぎわまで源三郎を待ちこがれた、きょうの仏の手引きというのかも知れない。
入場券代わりのこのたった一つの銭包み。
切符を持っているんだから、源三郎は悠然と馬から下りて、
「サ、御案内を……」
門の左右に立った岩淵達之助と等々力十内、顔を見あわせたが、定例《きまり》であってみれば、お前さんはよろしい、お前さんは困るということはできない。
「いざ、こちらへ――」
と仕方なく先に立って、邸内へはいったが、出る仏に入る鬼……
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