おおまち》とやって見た。白金大町《しろがねおおまち》、あいおい大町《おおまち》どうもいけません。下に番地がくっつきそうで――。
やっぱり、美女は小町。
小町は、妻恋小町の萩乃様。
と、こういうわけで、きょうは司馬先生のお葬式だが、折りからの好天気、あのへんいったい、まるでお祭りのような人出です。
四
門前には、白黒の鯨幕を張りめぐらし、鼠いろの紙に忌中《きちゅう》と書いたのが、掲げてある。門柱にも、同じく鼠色の紙に、大きく撒銭仕候《まきぜにつかまつりそろ》と書いて貼り出してあるのだ。このごろは西洋式に、黒枠をとるが、むかしは葬儀には、すべてねずみ色の紙を用いるのが、礼であった。
大玄関には、四|旒《りゅう》の生絹《すずし》、供えものの唐櫃《からびつ》、呉床《あぐら》、真榊《まさかき》、根越《ねごし》の榊《さかき》などがならび、萩乃とお蓮さまの輿《こし》には、まわりに簾《すだれ》を下げ、白い房をたらし、司馬家の定紋《じょうもん》の、雪の輪に覗き蝶車の金具が、燦然《さんぜん》と黄のひかりを放っている。
やしきの奥には。
永眠の間の畳をあげ、床板のうえに真あた
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