玄関へ立ち出でた。黒紋つきにあられ小紋の裃《かみしも》、つづく安積玄心斎、脇本門之丞《わきもともんのじょう》、谷大八《たにだいはち》等……みんな同じ装《つく》りで、正式の婿入り行列、にわかのお立ちです。
供命鳥《くめいちょう》
一
「エ、コウ、剣術大名の葬式だけに、豪気《ごうぎ》なもんじゃアねえか」
「そうよなあ。これだけの人間が、不知火銭《しらぬいぜに》をもれえに出てるんだからなあ」
「おう、吉や、その、てめえ今いった、不知火銭たあなんでえ」
夜の引明けです。
本郷は妻恋坂のあたりは、老若男女の町内の者が群集して、押すな押すなの光景。
きょう、司馬先生の遺骸が出棺になるので、平常恩顧にあずかった町家のもの一同、こうして門前からはるか坂下まで、ギッシリつめかけて、お見送りしようというのだが――中には、欲をかいて、千住《せんじゅ》だの板橋《いたばし》だのと、遠くから来ているものもある。
欲というのは……。
群衆のなかで、話し声がする。
「どうもえらい騒動でげすな。拙者は、まだ暗いうちに家を出まして、四谷《よつや》からあるいて来ましたので」
「いや、わ
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