玄心斎、すぐしたくをせい。これから即刻、本郷へ乗り込むのだ」
 と下知をくだした。
 帰って来たかと思うと、たちまち出発――いつもながら、端倪《たんげい》すべからざる伊賀の暴れん坊の行動に、安積玄心斎をはじめ一同はあっけにとられて、
「しかし、若、本郷のほうの動静は、いかがでござりました」
「サ、さようなことは、予だけが心得ておればよい」
 不機嫌に吐き出した源三郎のこころの中には。
 三つも、四つもの疑問があるので。
 司馬道場で、じぶんが柳生源三郎ということを知っているのは、あの、見破ったつづみの与吉と、お蓮派の領袖峰丹波だけであろうか?
 あの可憐な萩乃も、あばずれのお蓮様も、もう知っているのではなかろうか……?
 だが、これは源三郎の思いすごしで、あのふしぎな美男の植木屋が問題の婿源三郎ということは、丹波が必死に押し隠して、だれにも知らせてないのです。
 お蓮さまや萩乃にはむろんのこと、門弟一同にも、なにも言わずにある。
 丹波が皆に話してあるところでは……。
 変てこな白衣《びゃくえ》の侍が、左手に剣をふるって、やにわに斬りこんできたので、健気にもあの植木屋が、気を失った自分
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