かえっこに、ひとつ丹下様に働かせてみちゃアどうでございます?」
「ハハハ、罪だな、しかし」
「なに、罪なことがあるもんですか。そうして殿様はお艶さんを捜し出させ、左膳さまには青山の家をしらせてやってそこへあの人が飛びこんでゆけば、ね! ホホホホ飛んで火に入るなんとやら、あとはあたしの思う壺《つぼ》でございますよ」
「いやどうもお藤、貴様はなかなかの策士だな。かなわん。では、そういうことにしてやってみようか」
「ぜひ殿様、そうしてごらんなさいましよ……ときに、おさよさんは?」
「なに、さよか。ア、ちょっとそこらへ買い物にでも参ったのであろう」
と、軽くごまかした源十郎、善はいそげとばかりにさっそく左膳へぶつかってみるつもりで、ソッとお藤を帰し、そのまま離庵《はなれ》のほうへ庭を横ぎってゆくと、
「イヨウ! 源的、そこにいたのか。話があって参った」
むこうから左膳の声。
いいところで――と、思わずふたりがニッコリする。
「左膳!」
「なんだ?」
「拙者も貴公に話があって参った」
「まさか店立《たなだ》てではあるまいな」
「大きに違う。貴公の女弥生のいどころが知れたのだ」
「ほう! それは耳よりな! しかし源の字! そういえば、貴様の女の、お艶のいどころも知れたぞ」
「ナニ! お艶の居場所? それを貴公は知っているのか、どこだ? どこだ?」
「待、待て! そうあわてくさるな。それより、弥生はどこにいるのだ? それをいえ!」
「オッと! そう安直《あんちょく》に種をわってどうなるものか。貴公から先にはきだすがよい!」
「何をうまいことを? 資本《もとで》のかかっておる仕入れだ。そうそう安くはおろさんぞ」
「はははは、こうやっていたのでは限《き》りがないよ。いっしょに明かしあうことにしようではないか」
「きょうは嫌に女の所在の知れる日だて――そこできくが、弥生はどこにいる?」
「お艶の住いはどこだ?」
「チッ! そんなら、おれから先にいおう! お艶はいま、ふかがわのまつ川という家から、夢八と名乗って、芸者に出ておる」
「フウム! まつ川の夢八……」
うめいたまま源十郎、ふらふらとして庭外《そと》へ出ていきそうにするから、あわてたのは左膳だ。
「おいおい源公! てめえ、じぶんの聞く分だけ聞いておれのほうはどうした? 弥生様はいってえどこにいなさるんだ?」
「オオ、そうだ
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