早耳三次捕物聞書
霙橋辻斬夜話
林不忘

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)経師屋《きょうじや》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)江戸|花川戸《はなかわど》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+愛」、第3水準1−15−23]
−−

[#ここから1字下げ]
 友人の書家の家で、私は経師屋《きょうじや》の恒さんと相識《しりあい》になったが、恒さんの祖父なる人がまだ生きていて、湘南《しょうなん》のある町の寺に間借りの楽隠居をしていると知ったので、だんだん聞いてみると、このお爺さんこそ安政《あんせい》の末から万延《まんえん》、文久《ぶんきゅう》、元治《がんじ》、慶応へかけて江戸|花川戸《はなかわど》で早耳の三次と謳われた捕物の名人であることがわかった。ここに書くこれらの物語は、古い帳面と記憶を頼りに老人が思い出しながら話してくれたところを私がそのままに聞書したものである。乙未《きのとひつじ》だというから天保《てんぽう》六年の生れだ
次へ
全26ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
林 不忘 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング