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成吉思汗《ジンギスカン》 (快活に)やあ、札木合《ジャムカ》。長い間|虐《いじ》めてすまなかったな、ははははは。おれは君に、どうしても告白しなければならないことがあって、途中から単騎、馬を飛ばして引き返して来たのだ。
札木合《ジャムカ》 ううむ、こんなにおれを踏み潰しても、なお飽きたらず、まだこの上に、おれの顔へ唾を吐きかけようというのか。面と向って嗤おうというのか。さ、嗤え! さ、笑ってくれ! (詰め寄る)
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台察児《タイチャル》は刀の鯉口を切り、隙あらば斬りつけんと身構える。
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成吉思汗《ジンギスカン》 (平然と)おれこそ君に、嗤ってもらおうと思って来たのだ。この顔に、唾を吐きかけてもらおうと思って来たのだ。おれの話を一通り聞いてから、どんなにでも笑ってくれ――まあ、聞け。この一と月の間、守る君も苦しかったろうが、攻めるおれも辛かったぞ。城中の窮乏ぶりが伝わってくるにつけて、おれは、身を切られるような思いをした。この城を囲む
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