ぬそうでございますが、おりよく父親《てておや》の久助と申すものが、娘の舞台を見ようとして来かかる途中から火事を知りまして、いそいで駈けつけ、小屋のすぐそとに煙《けむ》に巻かれて倒れているのをやっと間に合って助けましてございます」
「それは、よかった。いやしき女ながら、心がけのよいものである」
「さようでございます。焼け死んだのは三人でございます。男女の別も判《わか》りませぬほど、焼けただれておりますが――」
「ふむ、その無理心中の三人であろう、女どもは、心柄とはいい条、可哀そうなことをいたしたな。日本一太郎はいかがいたした?」
「さ、その日本一太郎でございますが、屍骸《しがい》はもとよりございませんし、屍骸がないくらいでございますから、助かったには相違ございません。が、火事以来、どこへも姿をみせませんので」
「探すな」
「はい」
忠相はふたたびほほえんで、
「それとも、探し出して、そちと突き合わせてやろうかの」
「は?」
「いや、よそう。そちが困るであろうから」
「へへへ、お殿様、御冗談で」
「冗談ではないぞ」
「御冗談ではございません、といたしますと?」
「いって聞かそうかの」
「
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