「そうさな。愚かなやつであったな」
「あのまた、日本一も人が悪うございますよ。自分がお高の父親《てておや》の相良寛十郎のくせに、磯屋のほうへは片棒かついで化け込むと見せかけて、知らん顔してわっしのところへ面を出すなんざあ、ちょいとできる芸当じゃあございませんね」
「申しおる。お前が、前もって、かの日本一太郎を見つけ出して、そっと磯五とそういう話し合いになるように、日本一太郎のほうから磯五へ、それとなく在所《ありか》を知らせさせたのではないか。つまり、万事お前が仕組んで、磯五が引っかかったのであろうが」
 忠相がほほえむと、木場の甚も笑い出すのだ。
「どういたしまして。殿様こそお人がわるい。こうしてああして、磯屋に日本一を近づけるようにしろ。これでひとつ、磯五を取って押えるようにしようではないか――とおっしゃったのは、あれはいったいどこのどなたさまで!」
 二人の笑いに伊吹大作も加わつて、そこへ、そよ風が吹いてきて、青葉のゆらぎがゆらゆらと部屋中にうごいた。

      四

 どうして火が起こったのかわからなかったが、はやい炎の舌だった。お駒が気がついたときは、日本一太郎の姿はどこ
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