傾けて、
「どうしたい、おめえ、おれの心がわかってはいないのか」
「そばへ来ちゃいけないよ。あたしゃ、お前の心なんかわかりたかないんだからね――でも、さんざ玩具《おもちゃ》にされてすてられたってことだけは、これでもちゃんとわかっているんだからねえ」
「何をいっているのだ。おめえはどう変わろうと、おいらの心はちっとも変わっちゃいないのだ」
「じゃなぜ、妹だとか何だとか独廻《ひとりまわ》しておきながら、用がなくなったらほうり出したのさ」
「誰もほうり出しゃしねえ。おめえのほうで、追ん出たんじゃあねえか」
「出なくちゃならないようにしたのは、いったいどこの誰だろうね。見せつけに、あのお美代やおしんなんかとふざけたりして――誰だって、見ちゃあいられませんからねえ」
「つまらねえことをいわずに――しかし、ここでおめえを見つけたのは、まだ縁があるというものだ」
「うふっ。相変わらず口がうまいよ。もうこりごり。よりをもどそうの何のと、味なことはいわないでおくれよ、あたしみたいな素寒貧《すかんぴん》の女を相手にしちゃあ、磯五様の估券《こけん》にかかるじゃあないか」

      四

「馬鹿! おめえ
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