。日本一太郎は、どっちかというとおしゃべり屋のほうなので、それがときおりこうしてふっと黙りこむと、ことさら哀《あわ》れに見えるのだ。
 お駒ちゃんは、その辛気臭くしている日本一太郎がいやであったから、あしたを控えて、町のようすでも一まわり見て来ようと思って、裏ぐちの梯子《はしご》からおりて行こうとすると、
「おめえは小屋にいなけりゃあいけない。いまたずねて来る人があるのだ」
「何をいっているんだい。あたしゃ王子に知りあいなんかありゃあしないよ」
「まあ、いいってことよ。お駒ちゃんはここに待っているのだ。おいらは、ちょっくら一まわり町のようすを見て来よう。あすを控えて、気にならねえこともねえのだ」
 日本一太郎は、いまお駒ちゃんが考えていたことと同じことをいって、お駒ちゃんを梯子口から押しのけるようにして、じぶんは、藍微塵《あいみじん》の裾をはしょってさっさと梯子をおりて行った。地面へ着くと、上から見おろしているお駒ちゃんを振りあおいで、
「その人が来たら、おいらは今まで待っていたが、行き違いに出て行ったといってくんねえ」
 そして、境内の立ち樹のあいだを縫って、まだそこここ小屋掛けやら
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