押し黙って両国橋を渡って米沢町《よねざわちょう》のほうへ行って、それから新地《しんち》へ曲がった。そこのごたごたした横町をはいったところに、鯉《こい》こくで有名な川半《かわはん》という料理屋があった。三人は、若松屋惣七を先に、そこの二階へ上がって行った。
 若松屋惣七と相良寛十郎は、何ということもなく、それからそれと話しているだけだった。ただ、相良寛十郎は、相良寛十郎と呼ばれることをいやがって、芸名の日本一太郎で呼んでくれといった。
 お高は、食べることもせず、はなしにも口を出さず、このあいだからの気苦労と、進んできたからだのぐあいとで、疲れて見えていた。低い欄干のついている窓の下に、流れるようにつづく雑沓を見おろして、ぼんやりすわっていた。
 そのうちに若松屋惣七も日本一太郎も、話材がなくなって口をつぐんでしまった。
「それではこれで失礼をいたします」日本一太郎は、舞台で口上を述べるときのように、四角張って手を突いて、若松屋惣七と、それから自分の娘のお高のほうへも、等分に慇懃《いんぎん》なおじぎをした。「食べ立ちのようで、心苦しゅうございますが、手まえは、舞台がございますので」
 そ
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