《ひより》つづきで、雑司ヶ谷のほうにおいでとか聞きましたが、あちらはまた、江戸とは違って、もっとも、江戸からほんの一足ではございますが、それでも、万事に田舎々々してのんびりしていることでございましょう」

      二

 はい、と、いいえ、だけで受け答えして、さっきからうつむいていたお高が、急に顔を上げたのだ。
「こちらのお店とわたくしとは、これからどういうことになるのでございましょうか」
「どういうことと申しますと?」与兵衛が、木場の甚を見ながらお高にきき返して、「柘植のお家《うち》と和泉屋との関係《かかりあい》でございますか」
「はい。それから、早く申せば、わたくしの株、こちらのお店での役どころでございますけれど――」
「それはその――」
 和泉屋与兵衛が、笑いにまぎらせてことばじりを濁そうとすると、木場の甚がそばから引き取って、代わりにこたえた。
「それはお高さん、おゆうさんのもっていたお金だけ取って身をひくか、それとも、そのまま和泉屋の商売《あきない》につぎ込んでおいて、お前さんも大本《おおもと》の商法に口を入れるか、それはお前さんのこころもち一つなのですよ」
 柘植の分の
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