相違ない。それが、庭からの微風に吹かれて磯五のほうへ寄ってきたのだろう。何の気なく取り上げた磯五は、それがお駒より父さまへとしたものだったので、びっくりしたのだ。
手紙には、お駒ちゃん一流のたどたどしい字で、次つぎに磯五を驚かせるに足ることが書かれてあった。あのお駒ちゃんは、この久助の娘だったのだ。
お駒ちゃんは磯五を想っているばかりでなく、磯五もお駒ちゃんに約束して、ふたりは夫婦になることになっているというのだ。磯五は、おせい様から金をとるために、じぶんを妹に仕立てておせい様をいいようにしているものの、もしおせい様と深くなるようなことがあったらおせい様の家にいて、磯五との関係をみている久助が、気をつけて、いちいちしらせてくれという文面だ。磯五がおせい様といっしょになるようなことがあれば、じぶんは死ぬよりほかはない。そうも書いてあった。
かと思うとそのあとへ、磯五には内証だが、田舎《いなか》の金持ちの息子という新しい情夫《おとこ》ができて、よろしくやっているというような文句もつけ足してあるのだ。
磯五は、意外な引っかかりにおどろいて、じぶんの身辺が音をたててくずれてゆくような気
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