て、いまお高へきた手紙は何のことであろう? お高は、あれにあるとおり、すぐ江戸へ帰るであろうか。天井板をにらんで考えているところへ、おせい様についてこっちへ来ている、お駒ちゃんの父親の板の久助が、盆に茶碗をのせてはいって来た。
「磯屋さま、お出初《でばな》を一つ――」
磯五は、むっくり起き上がって茶をすすりながら、
「久助どんかい。おめえの奉公ぶりには、おせい様も感心していなすったよ。久助どんは、今じゃあ一番のお気に入りなのだ。まあ、ますますためを思って勤めてもらいてえ」
久助は、主人でもない磯五にそんなことをいわれて煙たそうに敷居ぎわにうずくまった。もじもじしていたが、やがてきいた。
「お妹さんは、このごろいかがでございますか」
自分の娘が、磯五の妹ということになっているので、久助は、皮肉な眼をかがやかして、磯五を見た。磯五は、そんなことは知らないし、急に妹などといわれたので、瞬間誰のことであろうと、不思議そうに考えた。が、すぐ、それはお駒ちゃんであったと気がついて、
「おう、そういえば、拝領町屋で、おめえがはじめてうまいものを食わせてくれたときに、お駒も相伴《しょうばん》して
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