でもどうかすると肉体的に惹《ひ》かれる磯五であったが、そうやって愚にもつかないことをいい立てている女性的な彼には、多分の反撥《はんぱつ》と軽蔑《けいべつ》を感ずるのだ。
お高はいまもそれを感じて、さっきの一時の動揺からすっかりさめていた。そして、磯五がそれに気がつかなくてよかったと思った。磯五は、まだ同じことをいっていた。
「おしんはいま、おれんとこへお針頭に住み込んでいるのだ」
「そうですか。それは結構でございますねえ」
磯五はそれから、若松屋惣七のことをきいたり、おせい様のことを話したりしながら、お高といっしょに道路《みち》のほうへ歩き出した。
「やはりおせい様からお金をしぼって、うまく立ちまわっておいでなのでしょうねえ」
お高が、いった。磯五は、ちょっとむっと[#「むっと」に傍点]したふうだったが、すぐ白《しら》じらと笑い消した。
「そうよ。だが、ただ奪っているわけではねえのだ。ちゃんとお返しがしてあるのだ」
「お返しとはどういうお返しなんでしょう。いつからそんな律儀《りちぎ》なお前様になったのでしょうねえ」
「なに、昔からだ」
それでお高に、磯五のいうお返しの意味がわか
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