いほど、眼鼻だちの整うた美男であった。すんなりと背が高く、色白で、澄んだ大きな眼をしておった。たましいをもたぬ相良寛十郎は、うつくしいけものであったよ。たましいを持たぬだけに、いや、おゆうどのはじめ、女という女を籠絡《ろうらく》したものであったよ。わははは、かの寛十郎、おなごにかけては、特別の力を備えた達人でありました」
 反射的に、またもやお高は、磯五を思い出してぞっ[#「ぞっ」に傍点]としている――その相良寛十郎とあの磯屋五兵衛、同じような男が、今と昔にわたって、母とじぶんを苦しめている。母娘《おやこ》は、ひとつの運命に引きずられているのであろうか。母と相良寛十郎と、じぶんと磯五と――お高は、磯五が、相良寛十郎の転身であり、この自分は母のおゆうであるような気がして、しようがなかった。
 一空さまの声をぼんやり聞いていた。
「うむ。この話は、どこぞに大きな間違いがひそんでおるに相違ない。とにかく、同じ相良寛十郎でも、さっきからわしが話しておるのは、あんたが父と呼んでおる人物ではない。それだけはわかったが、ともにおゆうさんの良人で、同名異人とも思われず、はて――」
 一空さまは、そこに
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