かめていると、群集の中から、すさまじい歓声が生まれた。
四
屋上に仁王立ちになって、まだ瓦を投げおろしていた勘が、ふいと足でもすべらしたものか、その瓦の一つのように、ずずずと屋根をなでて、地ひびきをたてて往来の真ん中へ落ちてきたのだ。そのまま起きあがらないから、腰でも抜かしたのだろうと人々が走り寄ってみると、みなびっくりしてしまった。勘は、右の肩から胸まで一|太刀《たち》に斬り下げられて死んでいた。
それにしても、いつ誰がどこから上がって行って斬ったのかだれにもわからなかった。一同はわいわい立ち騒いで和泉屋のことよりも、勘の一件が、問題の中心になってしまった。
さっきの若い武士は、いつのまにかお高のとなりへ帰って来ていた。不愉快そうな、むずかしい顔になっているのが、糸屋のもれ灯で見えた。黙って羽織の袖をとおして、仲間のそろえた履物を突っかけると、群集が、路《みち》のまん中の勘の死骸《しがい》をとりまいているので、周囲のほうは稀薄《きはく》になりつつある、そのまばらなところを縫って、ずんずん行ってしまった。主従とも終始無言で、ことにさむらいは、きたないものでも見たよ
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