つづいて歩きながら、お高がいった。
「旦那さま、歌子様が片瀬の龍口寺とやらへお詣りにお誘いくださいましてございます」
若松屋惣七の剃刀《かみそり》のような顔が、にっこりした。
「うむ片瀬へ? それは面白い。どうじゃ、おれのいったとおりであろう、どうもお前たちふたりは仲よしになるであろうと思ったのだ」
「はい、それはもう仲のよいお友達になりましてございますけれど、でも、歌子様のお客さまになって旅をいたしますのは気がねでございますから、おことわり申し上げましてございます」
「歌子の客というのは、どういうことかな」
「路銀をすっかりお持ちくださるとおっしゃるのでございます」
「路銀と申したところで、相州であるから知れたものだ。出すというなら、出させておいてよいではないか」
「いえ。それでは、わたくしの気が済みませんでございます」
「馬鹿堅いことをいうな。そんならおれが出してやろう」
「こちら様にはお仕事がございますし――」
「それも、おれがよいと申したら、それでよいではないか」
「でございますけれど――」
二人は、お高の部屋へ行って、むかい合ってすわった。若松屋惣七が、いいつづけた。
「
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