たのですよ」
「龍口寺とは、また奇特だな。えらい信心ではないか」
「信心も信心ですが、そういっては悪いけれど、遊山半分なのですよ。一度も、行ったことがありませんからねえ」
「ついでに、江《え》の島《しま》をまわってくるといい。おれも、行きたくなったな。行こうかな」
「そうですよ。ごいっしょに参りましょう。江の島へ寄って、ゆっくり遊びましょう」
「しかし、おれのほうは、すぐ行くというわけには参らぬのだ。友だちが来ることになっているでな。あの、紙魚亭《しぎょてい》の主人じゃ」
「麦田一八郎《むぎたいっぱちろう》さま。存じております」
「そうだ。お前も、知っているな。きやつが、久方《ひさかた》ぶりに岩槻《いわつき》より出府して参って、たずねると申してきている。待たずばなるまい」
「それは、好都合でございます。わたくしのほうも、いまいった大久保の奥様が風邪《かぜ》でふせっていらっしゃるので、それが快《よ》くなるのを待っているのですから。では、麦田様がお見えになったら、ぜひおつれになって、同行四人で、にぎやかにまいりましょうよ」
「うむ。そういうことにしようか」
「そうしましょう。麦田様は、面白
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