ゆくように、ちゃんと見届けてやるから、おめえも、ここで眼をつぶる気でな、しっかりやんな」
「ありがとうごぜえます」
「まあ、早く片づけて、ゆっくり休むがいいのさ」
 磯五は、すっかりあるじ顔で、べらべらしゃべりつづけた。

      三

 久助がおじぎをして部屋を出て行くと磯五も、たち上がった。彼は、上きげんであった。いよいよこの家《や》のすべてが、自分のものになったような気がして、あらためて、そこらを見まわした。
 磯五は、家事のこまかいことにかけては、女のような才能があるのだった。大きな才のない者には、こういう小さな才があるものだ。磯五は、その代表的な人物だ。女以上に、あれこれと日常の末に気がつくたちだった。すぐに、この家もいいが、あそこはああしよう、これはこうしようと考えながら、二人の女たちを探して、廊下を歩いて行った。
 不浄場に近いところに、小さな隠れ座敷のようなところがあった。そこは、女の客などが、ちょっと身じまいを直すための場所であった。くらい行燈がともっていて、そのかげに、おせい様とお駒ちゃんが、ぴったり寄りそってすわっていた。お駒ちゃんは、じっと眼をすえて、おせい
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