、死が待っていたのだ。女のまことが、赤く咲いてもいたのだ。
おせい様の金のほうは、ひとまず片づいたのだろう。ひと月ほどして、東海道掛川宿の龍造寺主計から、急飛脚が、金剛寺坂の若松屋へ駈けこんだ。おおいに見込みがあると思うから、思いきり金を入れる、安心していいという文面だ。若松屋惣七は、もうすっかりそんな商人らしいことをいう龍造寺主計に、遠くから微笑を送った。
五
龍造寺主計が掛川へ発足する前の晩であった。お高は、若松屋の屋敷内の自分の部屋で、縫い物をしていた。何だか、妙にむしむしする日であった。それが、妙にむしむしする晩にかわろうとしていた。お高は縁の障子をあけ放して、そこからくる夕ぐれの光で、針をうごかしていた。金剛寺の鐘がかすかに空気をゆり動かして、きこえてきていた。金剛寺坂をさわいでゆく、子供たちの声もしていた。
お高は、かるい頭痛をおぼえていた。からだじゅうの肉が、骨からばらばらに離れて、落ちていくような気もちであった。このごろの心労が、お高の顔に、大きく書かれてあった。うすれてゆく陽の色が、ちょっと室内を赤くしたり、また、たちまち暗くしたりした。
おせ
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