えん」
 お高は、声をのんで、ちらと若松屋惣七を見た。磯五の妻であるとは、誰も知られたくなかったので、若松屋惣七が、そばから口を入れて、そう打ちあけはしないかと懸念したのだ。が、惣七がだまっているのでお高は安心した。惣七以外の人には、あくまでその秘密を押し通していこうと思った。
「いいえ。これからお話を申しあげるような、こちら様との取り引きを通して、存じ上げておりますだけでございます」
「さようか。それで安心いたした。何なりとうけたまわろう」
 安心はおかしいと、惣七も、お高も思った。が、惣七は、もうお高にまかせて、黙りこんでいた。お高は、いっしんに先をいそいでいた。
 できるだけ順序立てて、ひととおり今度のいきさつを話し終わった。
 話し終わるのを待って、龍造寺主計が、質問をはじめた。それは奇妙な問いから、はじまった。若松屋惣七は、まるで他人のうわさでも聞くように終始もくもくとして、腕を組んでいた。
「お高――どの、といわれましたな。お高どのは、友だちというものがほしいと、思われることはないかな」
 お高は、何という悠長《ゆうちょう》な人であろうと、まじめに応対するのが、莫迦《ばか》
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