ら書類のようなものが、四、五枚ちらばっていた。
「泊まり客があるそうだが――」
「旅のおさむらい様でございます。きのうお見えになって、そのままお泊まりになったのでございます。江戸の人をさがすにつけて、旦那さまのお力を借りたいとかおっしゃってでございましたが、磯五さんがわたくしに用があるといって、金剛寺まで呼び出して話をしているところへ来なすって、磯五さんを見ると、それが、その、捜していらっしゃる当の相手でございました。お強そうな、お立派なお武家さまでございます」
お高は、簡単に、いま聞いた、龍造寺主計が磯五をねらって出府したわけを、若松屋惣七に話した。
若松屋惣七は、眉間《みけん》の傷痕《きずあと》をふかくして、顔をしかめた。
「いずれ、そういうことであろうと、思っておりました。お前の良人――とは呼びとうない。磯五だ。磯五とは、ゆうべおそく、拝領町屋のおせい様の家で会いましたが、じつにどうも唾棄《だき》すべき人間である」
「はい。それははじめからわかっておりますことでございますが」いいかけて、お高は、はっとした。「すると旦那様は、おせい様があわててお取り立てをおはじめなすったうらに
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