と、もうこれ以上いつわっておけぬところまで来て、男が打ちあけたのです。じつは、じぶんには、江戸に妻があって、正式に夫婦になるわけにはいかぬという。そう聞かされても、竹女はあきらめきれずに、やはり、取る金を、右から左に男にやっておったものだが、そのうちに男は、江戸から遊びに来ておったおせい様とやらいう町家《まちや》の女隠居とねんごろになって、それとも夫婦約束をしたとわかって、若竹は、何もいわなかった。くびれて、死んでしもうた」
「まあ――?」
「その磯屋五兵衛を、あんたのような潔《きよ》げな女が相識の模様でかばい立てしようとは、思わなんだ」
「あなた様は、その、若竹さまとやらおっしゃる方を、お好きだったのでございますか」
「うむ」
「それから、その男の方は、どうなすったのでございます」
「おせい様と江戸へ舞いもどったと、聞き及んだ」
「あの人が、磯屋のお店を買いとったお金は、そうしてできたのでございますか」
「若竹からは、大金を絞りおったぞ」
「そうして、あの人の手は、女性《おなご》の血に染んでいるのでございますね。あの人は、足でおなごの誠《まこと》に踏みつけて、立っていらっしゃるのでご
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