裏門に立って待っているので」
「おや、いやな話でございますねえ。わたしは男の人に呼び出されるような覚えはありませんよ」
「わっしもそう思って、めったなことがねえように断わったのですが、ちょっと帰って、またすぐ同じ口上をいって来るのです。二度も三度も来るのです」
「いやですよ。断わってくださいよ」
「何度断わっても、来てしようがねえのです」
「人聞きが悪いじゃあありませんか。何かわたしに、まともに来られない男の相識《しりあい》でもあるようで――誰でしょう、用があったら、自分で来たらいいじゃないの、ねえ」
「そうですよ。金剛寺さんの実朝様のお墓の前に待っているというのですよ」
金剛寺と聞いて、お高は、ことによると今出て行ったお侍ではないかと、思った。あの変人が、何をまた思いついて、子守《こもり》をなぞ使いに、そんなことをいわせてよこしたのだろう――。
「行ってみようかしら」
「そうですか。守っ娘が待っているのです」
「行ってみようよ」
お高はたち上がった。滝蔵が、心配そうな顔をした。
「あっしが、そっと後をつけて行ってもようがすよ」
「大丈夫ですよ。あそこは、参詣《さんけい》の人も多い
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