の世間ばなしをはじめた。屈託のない、ほがらかな声だ。お高は、床の間にかかっている、小さな、古い軸を見ていた。それは、わらびの絵で、上に、読みにくい字で、賛が書いてあった。野火の煙や横に、とあとはよく読めなかった。
お高は、それを読もうとして、床の間のほうをのぞくようにした。おせい様も、何か話しかけていたことばを切って、そっちをふり返った。それがお高に、さがしていた機会《きっかけ》をあたえた。お高は、いい出していた。
「あの、さっきの小さな女中さんは、わたくしが何のことで参りましたか、あなた様へ取り次ぎましたでございましょうか」
二
「はい。それがね、ほんとに馬鹿な婢《こ》で、どなたかほかの人と間違えて、若松屋惣七さんから若いおなご衆がお使いにみえたと申しましたよ。若松屋惣七さんと申すのは、わたくしがお金の扱いをまかせてきたお人で、このごろ、ちょっと頼んでやってあることがあるのでございますよ。
じつは、そのことが片づかないで、困っておりますので、きっとその話を聞いていて、それであの婢は、そんなとり違えたお取り次ぎをしたのでございましょうよ」
「いいえ。わたくしはほんと
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