の骨が牛の骨と、すっかりこんぐらがっているんだってのに。あのおしんてえ女も、どうかしてらあな。おかげでおめえにゃ泣かれる。こんな馬鹿を見たことはねえや」
「それもこれも、みんなお前さんのふだんの心がけがよくないからだよ」お駒ちゃんは、おいおい機嫌がよくなってきたが、それでも、最後に、ちょっとまじめな顔をして、きいた。
「じゃあ何だね、お前さんには女房はないとおいいだね。約束どおりに、あたしといっしょになれるんだねえ」
「そうとも。いつもいっているように、おせい様から取れるものだけとって振り落としてしまえば、あとは、おれとおめえと、な、それをたのしみに、おれもこうやって、あの皺《しわ》づらの御機嫌うかがいに、拝領町屋へお百度をふんでいるんじゃあねえか。ちったあこっちの気も察しろい」
 磯五が、お駒ちゃんの肩に手をまわすと、それは、魔術のように作用するようにみえた。お駒ちゃんは、すぐにっこりして、磯五の顔に頬ずりしてきた。磯五は、ちらと顔をしかめた。
「さ、そうわかったら、あっちへ行って、早く着がえをしてくれ。磯五の妹という役をわすれねえで、堅気な服装《なり》をしてくるのだ。おせい様は、もう待っていなさるに相違ねえ。おれも、今夜は何だか気がすすまねえのだが、せっかく招ばれたのに、そろって行かねえと、おせい様が気をわるくするかもしれない。いまおせい様の心もちを損じてならねえことは、おめえも承知のはずじゃあねえか」
 それから、まもなく、磯五とお駒ちゃんは、外出着《よそゆき》にきかえて、駕籠《かご》にゆられて下谷の拝領町屋へ出かけて行った。拝領町屋の雑賀屋の寮には、おせい様が、すっかり膳部のしたくをととのえて、今くるか、いま来るかと、いらいらして待っていた。そこへ、磯五とお駒ちゃんが乗りこんで行くと、おせい様は、
「おいでくださらないのかと思いましたよ」
 と、恨むようにいって、さっそく二人を奥の座敷へ案内した。そこには、燭台に灯がはいって、もう配膳するばっかりになっていた。おせい様は、得意げに、磯五を見ていった。
「いつかお話ししましたよねえ。あたらしい料理人《いたば》が来て、そのおじいさんは、お料理からお客のほうまで、一人でしないと気に入らないといった――久助《きゅうすけ》というのですよ。ひとつ手腕《うで》を見てやってくださいよ」
 縞の着物に、雑賀屋のしるし半纒《ばん
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