元禄十三年
林不忘
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)勅使饗応役《ちょくしきょうおうやく》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一大事|出来《しゅったい》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]
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問題を入れた扇箱
一
「いや、勤まらぬことはありますまい。」
土屋相模守は、じろりと二人を見た。
「勤まらぬといってしまえば、だれにもつとまらぬ。一生に一度のお役であるから、万事承知しておる者は、誰もないのです。みな同じく不慣れである。で、不慣れのゆえをもってこの勅使饗応役《ちょくしきょうおうやく》を御辞退なされるということは、なんら口実《こうじつ》にならんのです。御再考ありたい。」
しかし、一、二度押し返したうえで引き受ける習慣になっていた。
浅野事件の前年だった。
元禄十三年三月三日に、岡部美濃守と立花出雲守が、城中の一室で土屋相模守の前に呼び出されていた。土屋
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