に伺いたいことがございますとか――お通し申しましょうか。」
 お糸の白い額を見ながら、いったい、取次ぎにこの女を雇ったはずではなかった、と、吉良は思った。
 じっとお糸に眼を据えて、無言でうなずいていた。

      六

 玉虫|靱負《ゆきえ》は、立花出雲守の公用人だった。一間に案内されて、待っていた。
 正面のふすまが、左右にひらいて、ふところ手の吉良が、せかせかした足どりではいって来た。
 腰元らしい女をひとりしたがえているのを、玉虫は、平伏しながら、上眼づかいに見ていた。
「どうもおそく参上いたしまして――。」
「いや、なに、かまいません。」
 吉良が、痩せた膝を座蒲団にならべると、女も、そのうしろに引きそうように、すわった。
 用談を持ってきた客には、吉良は、気が短かった。
「お役目のことといえば、御主人出雲殿の饗応お添役についてでしょうが、どういう――。」
 すぐ、吉良からきりだした。
 用人の左右田《そうだ》孫三郎が、縁の障子の根に、ななめに顔を見せていた。
「申し上げます。ただ今、立花様より、家老へ白銀十枚――。」
「これは、これは。そうたびたび、恐縮ですな。」
 吉
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