寛永相合傘
林不忘
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)隣家《となり》の
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)同藩の士|安斎《あんざい》十郎兵衛《じゅうろべえ》嘉兼《よしかね》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号)
(例)※[#「金+祖」、第3水準1−93−34]元《はばきもと》から
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一
つまらないことから、えて大喧嘩になる。これはいつの世も同じことだ。もっとも、つまらないことでなければ喧嘩なんかしない。隣家《となり》の鶏が庭へはいって来て、蒔《ま》いたばかりの種をほじくったというので、隣家へ談じ込んでゆくと、となりでは、あんたの犬が鶏を追い廻して困ると逆《さか》ねじを食わせる。そこで、こっちが、ええ面倒くせえ、やっちめえというんで、隣家の鶏をつぶして水たきにでもしていると、となりでは、手早くこちらの犬の屍骸を埋める穴を掘っていようという騒ぎ。それから両家がことごとに啀《いが》みあって、とんだ三面種を拵えるなんてことは今でも珍しくない。だか
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