んです。
李剛 遅かったじゃないか。安重根君はどうした。
白基竜 それが、どうも変なんです。黄成鎬さんのところへも、今日早く着くからという報せがあったそうで、あちらへもわいわい詰めかけて待っていますし、僕も、いま来るか今くるかと思って、こんなに晩くまで待ってみましたが――。
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階段の上にクラシノフが現れて下を覗く。
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クラシノフ どうしたい。だいぶ大きな声がしてたようだが、床屋のやつ、もう帰ったのか。
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降りて来る。
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白基竜 何かの都合で一日延びたんじゃないでしょうか。
朴鳳錫 なあに、こっちにはすっかりわかっているんだ。君のいないあいだに、今の床屋の口から大変なことが露《ば》れたのだ。
白基竜 安さんのことでか? 何だ。どんなことだ。
李剛 (決定的に)朴君、私はあの張首明という人間が気になってならない。君、すぐ出かけて行って、あいつの家を見張ってみたらどうだろう、出て来たら、無論、後を尾けるのだ。
李春華 (階段を
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