。もし来たら、この長靴のように伸ばしやる!
李剛 (沈思の態にて、静かに張首明へ)なるほど。その安重根という人は、あなたの店でいろいろ話し込んだ上、あなたに伝言を頼んで、午後町へ出て行ったというんですね。
張首明 そうです。なんだか皆さんのお話しの模様では、御存じの方らしいじゃありませんか。
朴鳳錫 そんなことは余計だ。用が済んだらさっさと帰れ。
張首明 帰れと言わなくたって帰りますよ。(独言のように)なんだか知らねえが、まるで支那祭りの爆竹みてえにぽんぽんしてやがる!
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と帰りかけて、戸口からそとを覗く。
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張首明 誰か来ましたよ、自転車で――あ、白さんだ。白基竜さんだ。
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言いながら出て行く。この間に李春華が二階へ上って、羊燈に灯を入れて持って来て傍らの古家具の上に置く。張首明と入れ違いに白基竜がはいって来る。
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白基竜 (戸口に自転車を立て掛けながら外を振り返って)今のは床屋の張ですね。不思議なお客だな。何しに来た
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