李剛 (苦笑して)そうしてくれたまえ。朴君は喧嘩っ早いから、ひとりじゃあ心配だよ。
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朴鳳錫と鄭吉炳は、ドアを出て階段を駈け降りて行く。一同じっと聞耳を立てている。「何だ、何だ。」「何の用だ。ここは貴様の来るところじゃない!」などと二人の大声や跫音に混って、張首明の低い声が聞えて来る。
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大東共報社の階下。民家の物置きにて、古家具、新聞雑誌、穀物の袋等積み重なり、手車なども引き込んである。そこここの床に食客たちが寝泊りするマトレスが敷いてある。下手寄りに、出入口のドアが開け放されて、街路の灯りがかすかに流れ込んでいる。正面中央に、階上の大東共報社へ昇る階段が、下から三分の二ほど見える。舞台はほとんど闇黒。
前の場の続き。前場の人々全部と、理髪師張首明、白基竜、安重根。白基竜は朴鳳錫と同じ若い独立党員で、大東共報記者。
正面の階段を、理髪師の白衣を着た張首明が、突き落されるように降りて来る。朴鳳錫と鄭吉炳は、階段の中途に立ち停まって足だけ見えている。
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