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張首明 (階段の根に身を支えて)何をするんです。乱暴な! 李先生に用があるんですよ。
朴鳳錫の声 何だ。だから、何の用だと訊いてるじゃないか。
鄭吉炳の声 張さん、ここは君の来るところじゃないぜ。用があるなら、僕らに言いたまえ。先生に取り次ぐから――。
張首明 私も来たかありませんがね、伝言《ことづけ》を頼まれたから、仕方なしに来たんです。
朴鳳錫 (駈け降りて来る)こいつ! 貴様が先生に用のあるはずはない。おい、鄭君、こんなやつと真向《まとも》に口利くことないんだ。抛り出しちまおう。
鄭吉炳 (続いて駈け降りて朴鳳錫を制する)待てよ。いいから待てよ。(張首明へ)君も強情だな。僕らが取り次ぐと言ったら、ともかくその用というのを話したらいいじゃないか。
張首明 (朴鳳錫へせせら笑って)おれの身体にさわると、大変なことになるのを知らねえか。おれは、ただの床屋の張さんじゃあねえぞ。
朴鳳錫 (鄭吉炳を押し退《の》けようとしながら)なにを! 貴様、日本のスパイだと言いたいんだろう。同じ朝鮮人のくせに、日本人から女房と金を貰って、金斗星先生や安――。
鄭吉炳 朴君!
朴
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