金を搾《しぼ》ってやるといいんだわ。
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卓連俊が、水のはいっているバケツを提げて、あわただしく上って来る。
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卓連俊 (戸口に立ち停って階下を見下ろす)どうもいけ[#「いけ」に傍点]図々しい野郎だ! 角の床屋です。いけねえって言うのに、どんどん上って来やあがる――。
朴鳳錫 (ドアへ走って)角の床屋? 角の床屋って、あの、スパイの張首明か。
卓連俊 先生に用があると言って肯《き》かねえのだ。いま都合を訊いて来てやるから待っていろと言っても、あん畜生、おれを突き退《の》けるようにして上って来ようとする――や! 来た、来た! 上って来やあがった!
鄭吉炳 あいつ、俺たちに白眼《にら》まれてることを知らないわけじゃあるまい。承知の上で押し掛けて来たとすると、スパイめ、何か魂胆があるかもしれないぞ。
李春華 燈火《あかり》をつけましょうか。
クラシノフ (不安げに立って)いやいや、暗いほうがいいです。
朴鳳錫 上げちゃあまずい。よし。どんな用か、僕が行って会ってやる。
鄭吉炳 (李剛へ)僕も行ってみましょうか。
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