れしくならんで来る。
「このごろ物騒な夜道を、貴殿これからいずくへおいででござる」
自分こそ物騒だ。大きにお世話、と守人が黙っていると、
「ははははは、この刻限にこの道、これはいかさま野暮なことをおきき申した。雨の夜の北廓《ほっかく》もまれには妙でござろう。下世話《げせわ》にも気散じとか申してな、武骨ながら拙者もお供つかまつろう」
守人にしては迷惑しごくな話、べつにどこといって目的のあるわけでもないが、大門をくぐろうとは思っていない。で、すぱりといってやった。
「拙者は吉原へ参る者ではござらぬ。どうかかまわずお先へ」
「いやなに、情夫《まぶ》は引け過ぎと申すで、そう急ぐこともござらぬ、はっはっは」と相手は少しも動じない。「それとも、惚れて通うに田舎武士《いなかざむらい》は邪魔だといわるるか」
へんにもつれてくる。
喧嘩《けんか》を売る気。うるさい奴につかまったな、と守人は眉をひそめた。黒い影が三々五々、すこし遅れて左右からつけて行く。
黒頭巾がひとりでしゃべりつづける。
「先刻の詩、惜しい先生が揚げられたものでござるな。拙者ごときも痛憤に耐えぬ一人じゃ」
彼がここで惜しい先
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