とうしろに二、三の黒い袋を従えて、それが広間中の黒い袋のあいだを縫って歩く。この巡視が始まると、今まで寝そべっていた者は起き、歩いている者は立ちどまって、尊敬をこめた態度で迎える。
 いっさい無言のうちに行なわれる。
 そして。
 その白い袋が、確かにでたらめと思われる態度で、そこらの黒い袋を二、三人ずつ指摘する。すると、指された者は、立って一行に従って、その奥の垂幕に消えて行くのだが、それらの人々が再びここへ帰って来るのかどうか。出るにも、はいるにも同じ黒い袋だから少しもわからない。
 しかしその白い袋と、奥の垂幕のかげに、何事かこの集会所の秘密を解くべき鍵《かぎ》が潜んでいるであろうことは、お蔦の早くも見てとったところだった。
 ある夜だった。食事が済んでまもなく、隣の黒い袋が、そっとお蔦に、にじり寄ってささやいた。
「今夜あたり始まりますぜ」
 と、そのことばが終わらないうちに、奥の幕が左右にさっ[#「さっ」に傍点]と開いて、いつもの背の高い白い袋がゆうゆうと進み出た。そして、途中、二人ばかり指さした後、お蔦の前まで来ると、その白い袋がぴたりと止まってお蔦は自分に向けられている強
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