敷の周囲《まわり》をあらためてみよう。今夜はこれで――安、ご苦労だが、その人をかついでってくれ」
文次と安、気絶している守人を肩に、ともかくその夜は帰路についた。
歩きながら、話し合っている。
「その二人づれの今夜の押し込みてえのが――ことによると烏羽玉組《うばたまぐみ》じゃあごわすめえか」
「われもそう思うか。実あおいらもそこらが見当だ。安! これあひょっ[#「ひょっ」に傍点]とすると大芝居《おおしべえ》だぜ」
井底に潜《ひそ》む黒衣のむれ
ここは井戸の底である。
といったばかりではいかにも唐突《だしぬけ》だが、井戸の下に広がっている茫漠《ぼうばく》たる大広間だ。
ところどころに青竹が立って、それに裸蝋燭《はだかろうそく》がさしてある。そのぼんやりした光で見ると、おびただしい人間の群れが、あるいは壁にそってすわり、あるいは床に寝そべりあるいは円形を作って立ち話し、あるいは忙しげにそのあいだを歩きまわっている。
三百人もいようか。
まるで海豹《あざらし》の大軍が、乗るべき潮流を待って北海の浜にひなたぼっこをしているようである。何たる奇観! なんたる異象!
しか
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